第2回 中国珍道中 Part.2

熱水紀行〜前編〜

 あれから1年・・・「悪いものを見てしまった」6人が再び北京空港に集まりました。「最初で最後」だったはずの中国撮影行。危惧した通りというか、予想通りというか、パート2が始まってしまいました。(^^;)  メンバーはNORTH DRAFT氏(以下NO氏)、Ido氏の西日本勢にmanasayu氏、Sto氏、ワンカップ氏、それに私の6人。前回叶柏寿で私たちに中国病を植え付けたA御大とドクターMの姿は今回はありません。
 集通鉄路熱水(ルースィ)〜1994年に開通した内蒙古高原を東西に貫くこの第三セクターの鉄道は、当時全列車が前進型蒸機の牽引で、しかも大興安嶺山脈を越える好魯庫(ハオルーク)〜大板(ダーバン)はほとんどの貨物列車が前進型の重連運用。熱水はそのほぼ中間点にあたり、6つのオメガカーブを持ち、山に登れば1時間以上列車が見えている、というところです。 しかし、昨年初めて叶柏寿で中国蒸機を体験したとはいうものの、私たちはまだまだ「中国蒸機超初心者」!熱水は敷居が高いような気がしたのですが・・・。ヒョンなことからいきなりのトライとなりました。
 1998年2月7日朝。世間では(?)磐越西線D51498の冬運行で鉄ちゃんが浮かれたつ中、関東組の4人はスカイライナーで成田に向かっていました。今回にあわせて強引に仕事のスケジュールを調整したmanasayu氏。ムリヤリ休みの都合をつけたSto氏。毎日飲むお酒の量を半分にして(?)節制したワンカップ氏・・。それぞれに熱水への期待がふくらんで、話に花が咲き、あっという間に成田。
 全日空905便北京行きはボーイング777。座席にはテレビゲームが内蔵されていて、ちょっと手慰みに、と「ドラゴンズ・アイ」をやったのですが、すっかりアツくなってしまい、北京到着直前までやり通し。(^^;) アタマの中を麻雀牌が飛び交ってます。機内のスクリーンには、現在の飛行高度、速度、飛行位置、外気温が表示されます。「高度10000m 外気温−31℃」
「熱水の気温って、このくらいになるんだよね?」
考えてみればスサマジイところに行こうとしているのです・・・。
 北京に到着して、大阪便で先着していたNO氏、Ido氏と合流。前回と同じようなマイクロバスが待機していました。ただ、今回は6人なので、前回よりかなりゆったりしています。
 バスは出発すると、前回とは逆に北京市内に向かって走っていきます。北京の中心街に入ると、私が添乗員時代に訪れた頃の社会主義国特有のくすんだ固い雰囲気は一掃されていました。15年前に訪れたときは人民服姿があふれていましたが、今は人民服を探すのが大変。服装ももっているバックや紙袋も一見すると東京の街中を歩いている人とさほど変わりません。ひっきりなしにすれ違うトロリーバスや林立する中国語の看板(「夏布」(シャープ)や「松下照明」(ナショナル)なんかも・・・)がなければ、北京とは思わないかも。街は建設ラッシュで高層ホテルがいくつも建設中。あちこちに「奥林匹克」(オリンピック)の文字が見えます。そう、北京は2008年のオリンピック開催都市に立候補しているのでした。
 熱水への入口、赤峰(チーフェン)へ向かう夜行列車は20:23発。まだまだ時間があります。土産物店で休憩した私たちは時間つぶしをかねて天安門広場へ。ものすごく風の強い日でした。元宵節を祝う巨大な紅灯が風に倒されてペシャンコになっていました。
「熱水ってここより風強いんだよね?」
「ホント・・・?」
国旗掲揚台の前に直立不動で立つ軍人さんも寒そうでした。
 もう一度土産物屋に寄った後(それにしても中国の旅行社はやたらと土産物屋に連れて行くなあ)市内の小さな飯店に向かい、夕食。お待ちかねの「北京ダック」です。寒さのせいか、6人ともかなりの空腹状態。少々辛目の前菜を平らげると、いよいよ本菜のダック。大きな皿に山と盛られた薄切りのダックの肉。これを大きな餃子の皮のようなもの(薄餅〜ハオピン)にネギと一緒に巻いて食べるのですが、これは美味でした。それにしても、中国の料理は初めから食べきれないほど山のようになって出てくるのですが、少し量が減ったと見るや、すぐに追加を持ってきます。それがあちらでの礼儀だそうで・・・。日本だったら「もったいない」というところですが・・・。

5角札

 食事を終えて北京北駅へ。夜になるとやはり街灯の数が東京ほど多くはないため、なんとなく薄暗い印象を受けます。それだけに大きなネオンサインがやたらと目立つのですが・・・。大通りから少し引っ込んだところに北京北駅はひっそりとありました。時刻表を見ると1日に発着する列車は出発・到着あわせて8本だけ。どことなく両国駅に似た雰囲気です。列車内に入るまで時間があるので、駅向かいの小さな商店で買い物。ジュース(らしきもの)やコーラ(らしきもの)がそれぞれ5〜6角(ジャオ)。(日本円で7〜8円)ひげの生えた初老のおじさんが1元札のお釣りにボロボロの1角札や5角札を返してくれます。近代化していく北京の姿を見せ付けられただけに、何となく昔の庶民的な下町風の北京の姿をやっと見たような気がしてホッとしました。しかし、すぐ後ろを振り返ると、そこには「資本主義国:中国」の象徴のような店が2軒ありました。一つはウインドウにおいしそうなケーキやお菓子を並べた洋菓子店。(日本の不二家のレイアウトにそっくりだったな〜)そしてその隣りに日本人なら知らない者はない、あの牛丼の「吉野家」!
 「う〜ん、あの牛丼食べてみたいな〜」と言ったのはmanasayu氏。
 日本と同じ味がするのだろーか?

時刻表

 しばらくして駅に入ると、私たちの乗る通遼行き直快557次が入線していました。ホームは島式ホームが一面だけ。各車輌の入口に1人ずつ女性の列車乗務員が立っています。けっこう美人だったりして・・。(^^)
 私たちは軟臥車(A寝台)に入り、2部屋に分かれました。4人個室とはいえ、私たちの重装備と荷物を運び入れるとさすがに狭くなります。自分の足の置き場もないほど。落ち着いたところで明日の作戦会議。明日、熱水の東方、峠の麓の林西(リンシー)には昼前に着くという。ちょうどその頃、熱水へ向かう客車列車があるということなので、その客レの「追っかけ」をしようということで衆議一決。(中国の汽車は速度がのろいので、どんなにゆっくり走っても楽に追っかけがききます)
 寝る前に用を足そうとしてトイレへ。ドアノブを見ると「旡人」(あき)となっていたのでドアを開けて中へ。(ちなみに「有人」となっていれば使用中)ドアと便器の間には1m近い間隔があって用を足している間は手が届きません。ノックされたら・・・と思うと気が気でなかったですが、中国ではトイレをノックする、という風習はないそうで、ドアの外で「ヤオレンマ?」(入ってますか?)と叫ぶそうです。それにしたって何と答えていいのやら・・・。こちとら中国語はカタコトしかわからないのに・・・。よく見ると、「落とし」の穴の下にはレールが見えます。昔懐かしい(?)タレ流し方式・・・。下からは冷気が吹き上げ、長い間座っていると、かえってお腹を冷やしてしまいそうな。中国の客レを撮る時は線路端のカブリツキに三脚立てて撮るのは避けたほうがよさそうです。(^^;)
 赤峰6:23着。まだ薄暗く、東の空の端がかすかに白みがかっている中を私たちは列車から降りました。まだ薄暗い中を大勢の人たちが白い息を吐きながらゾロゾロと改札口へ向かう。なんとも生活感あふれるシーンです。(BGMにさだまさしの「長江」を流したい!)これを写真に撮れたらいいな・・・と思った刹那、私の背後でフラッシュが!何とワンカップ氏がコンパクトカメラでこの光景を撮ったのです。いいのかな〜と思ったら、案の定、かたわらに立っていた軍人さん(公安さん)と思しきオジサンがすっ飛んできて早口にまくし立てました。
「●△☆◎、◇○×★◎◎▲※■×○●☆!!!!!」
要するに、「ここで写真を撮ったらダメだ!」と言っているらしい。
ガイド氏が「しょーがないなー」という表情で間に入り、軍人さんを説得。軍人さんもこのテのトラブルはちょくちょくあるのか、一言二言小言を言っただけで解放してくれました。ガイド氏は「●○サン、もうこんなとこで写真撮ったらダメね!」と小学生を叱る先生のような口調で一言。恥ずかしそうに下を向くワンカップ氏・・・。
 改札を抜けていくと、両側に人が群がり、手を上げて「林西、林西!」などと叫んでいます。ガイド氏に聞いて見ると、乗合タクシーの客引きだそうで、ここから北へは鉄道がないため(路線バスはありますが)こうした商売が成り立つのだといいます。中には雲助同然の悪徳タクシーもいるそうで・・・。
 ここからまたマイクロバスに荷物を積み込んで、いざ熱水に向けて北上を開始。赤峰から熱水までは300km近い。今7:00ちょっと前。果たして林西までどのくらいで行くのだろうか?走りだすと、ガイド氏が立ち上がって、
 「皆さんが一刻も早くSL撮りたい気持ち、わかります。だから、急いで走ります!」と言いました。
 その言葉通り、赤峰の市街を抜けるとわがマイクロバスは猛烈に飛ばし始めました!道はけっして良くないし、ところどころ凹凸もあるのですが・・・。やがて東の地平線から太陽が昇ります。ほとんど一面の大平原。地平線のかなたに太陽が顔を出すと、一気に空が明るくなり、大地の色が変わっていきます。日本のようにゆっくりと時間をかけて明るくなるのではなく、一気に夜が昼に変わる感じ。見渡す限りの荒地には家が一軒も見えません。ところどころに残雪があります。
 「10日くらい前、赤峰に大雪降ったんです」とガイド氏。
 広々とした大平原をわがマイクロバスはサファリラリーさながら砂塵を巻き上げて猛スピードで走っていきます。運転席の横に立てた小さな2つの中国国旗がカタカタ音をたてて飛び跳ねています。お〜い、ワンカップ氏、大丈夫かあ〜?(彼は車酔いにテキメンに弱いのでした)
 走ること約2時間で烏丹(ウータン)という小さな町に到着。ここで朝食。小さな食堂(入り口に可愛い子供の絵が貼ってあった)に入り、円卓を前に座ります。やがて出てきた料理は野菜を中心としたものでしたが、全員口に入れた途端、「う!」・・・辛いのです!すさまじく辛いのです!それも普通の辛さではなく、「すっぱ辛い」のです!キンピラゴボウのようで、見た目にはおいしそうなのですが・・・。酢と醤油とワサビを混ぜるとこんな味になるのでは・・・?全員いささか顔面ソーハク気味。これからどんな食生活が待ち構えているのだろうか?結局出た料理の半分も食わず、饅頭(マントウ)をかじり、お茶だけガブガブ飲んでその食堂を出てきました。我々、まだまだ修行が足りないようで・・・。
 再び走り出し、しばらくすると道は次第にゆるい山地に入っていき、道の両側に小高い丘が目に付くようになります。やがて右手に見えてきた山の中腹に「緑化林西」(林西を緑化しよう)と植林で書かれた文字が見えてきました。林西に着いたのです。時間は10:20過ぎ。赤峰から4時間弱で走破してしまったようです。隔日運転の客712次は林西発11:13。定時でもまだまだ余裕があります。追っかけ撮影の最初のポイントを探すべく、集通線の線路を目指します。やがて踏切に出ました。
 「う〜〜ん。イマイチだなぁ。」
 何の変哲もない低い築堤の直線。背後に防風林。近くには人家が点在。内モンゴルらしい風景とは程遠い。(余市〜蘭島の直線を想像して下さい)わざわざ三脚を立てる場所じゃない・・・。
 「先へ行こう」
 バスはさらに場所を探すべく、熱水方向へ走っていきます。しかし、なかなか良い場所が見つかりません。ここもダメ、ここもイマイチ・・・。そうこうしているうちに私たちの目の前に大きな山肌が正面に見えてきました。大興安嶺山脈です。山脈、といっても日本のように急峻な山ではなく、大きななだらかな丘が連なっている、そんな感じですが・・・。しばらくすると、その山の中腹から白い煙が立ち昇っているのが見え始めました。まさか火山でもあるまい・・・。よく見ると、その煙は少しずつ移動しています。・・・ということは・・・!
 「アイツを追え〜〜〜!!!!!」
 ここに至って私たちは客レの追っかけを放棄。目の前(といってもはるか先ですが)の煙を追って熱水の峠に向かい始めました。相手は長大編成の重量貨物。速度は極めて遅い。追いつく可能性は充分にあります。宇宙地を過ぎ、熱水の町まで追跡すること約30分。左手には山肌にへばりついてゆっくりと峠を登る前進型の重連と、それに連なる長大編成の貨物列車がはっきりと見えるようになってきました。線路はこのあたりは道路から大きく離れているため、撮るにはちょっと遠い。
 「サミットのトンネルへ行こう!」

上店サミットへ

 経棚(ジンペン)峠のサミットをなすトンネルの上で車を停めて、各々セットアップ。汽車の姿はもう向こうに見えていますが、速度がのろいので、時間は充分にある・・・のですが、外は寒い!(このとき−22℃)手袋を二重につけていても三脚を持つのが難儀なほど。慣れない寒さに四苦八苦しながらセットアップを終えると、やがて前進の重連がやってきました。強い風に煙が流されます。猛烈な白煙を吐きながら、重厚なドラフト音を響かせてゆっくりとトンネルに近づいてきます。今回の私の主力機は旧F−1。ワインダーはつけていません。1枚、1枚ゆっくりと巻き上げながらシャッターを切っていきます。急な巻上げでパーフォレーションを切らないように注意しながら・・・。短い汽笛を鳴らすと(タイフォンではなかった)汽車はトンネルに突入。白い煙があたり一面に散りました。
 第1発目の撮影を無事に終えて、全員ホッとした表情。
 「これからどうします?」
 「上店(シャンテン)の駅に行ってダイヤを聞こう」
 上店は経棚峠のサミットにほど近い駅で、おおよその列車ダイヤを教えてくれるという。さっそく上店駅へ行き、「贈り物」(ソデノシタ、とも言いますね)のマイルドセブンを出して、ガイドを通じて列車ダイヤを聞くと、小さな紙片にスラスラと書いてくれました。ダイヤと言っても、ここからはるか東の大板と西の好魯庫の発車時刻だけですが、少なくともこれから何本の列車が来る予定なのかはわかります。それによると、もうすぐ西の方角から1本列車が来ます。駅の人にお礼を言って、さっそく西の方向に車を走らせました。

第6オメガの鉄橋

 下坑子(シャーカンツ)の手前、オメガカーブの鉄橋を見上げるところまで来て車を停めます。私たちの背後には線路があり、それが大きく回りこんで今度は私たちの目の前の鉄橋を渡り、さらに逆方向に向きを変えて山を登っていくのです。本当ならば、オメガカーブの中心の山に登ろうと思っていたのですが、そこまでの時間の余裕はなさそうなので、一列に並んだ防風林の下に三脚を立ててセットアップ。すると、その直後に背後から汽笛が!上店で聞いた時間よりかなり早いような気が・・・。私たちのすぐ後ろを2両の前進型が爆煙を上げて走っていきます。ドラフト音は一度遠ざかりやがてオメガカーブを回って鉄橋の上にサイドビューを現しました。山肌にわずかに残る雪と、わきあがる白い煙が半逆光に映えてきれいでした。貨車の数は30両ちょっとだったでしょうか。向かいの丘の頂上に鉄ちゃんと思しき人影が見えました。

 さて、上店で教えてもらった時刻によると、ほどなく大板方向から列車がきます。装備を撤収してバスに戻り、再び上店方向に走り出します。バスの窓からはつい今撮ったばかりの貨物列車が大築堤をあえぎあえぎ登っていくのが見えます。寒さを忘れて窓を開けてカメラを構えます。この調子でフィルムを消費していくと・・・今回は30本持ってきましたがそれでも果たして足りるかどうか・・・。そんなことを考えていると先ほど撮影した列車を追い越してしまい、急遽バスを停めて、上店を発車してサミットに向かってくる列車をオ-バークロスからシュート。ホンマにフィルムが飛ぶ・・・。(--;)

 先ほどのサミットの少し手前にバスを停め、背後の丘に登ります。高さにして30mほど登ったところで三脚を立てました。さっきにも増して風が冷たい。手袋をしていると思うように機材が扱えないし、と言って素手では指が動かない。痛い。ここでは日本国内の倍の時間がセットアップに必要なようです。(気温−25℃というところは北海道でもあるでしょうが、この冷たい風は日本国内では経験できないでしょう。体感温度は−40℃くらいになっていたはずです。)正面はるか遠くに六地溝(リューディゴウ)の駅が見えます。よく見ると駅のかたわらから白い煙が上がっています。先ほど私たちが撮った貨物列車が交換待ちをしているようです。煙は同じところからポカリ、ポカリと立ち上がり、動く気配がありません。やがてその向こうの丘の左すそを回りこむようにして二条の白い煙が現れました。その煙は軌跡を描きながら丘の麓を左から右へと横切っていきます。後に続く貨車列の長いこと!まるで丘に鎖が巻き付いているみたいです。やがて煙は左に向きを変え、もう一度正面に向きを変えて六地溝の駅に入りました。しばらく4本の煙が交錯します。あそこには4両の前進型がいる・・・。

 こちらへ向かう煙がまず動き始めました。煙はまず右へ、そして左に向きを変えて小高く盛り上がった小さな丘のかげにいったん隠れます。そしてしばらくするとその左の裾から2両の前進型が姿を現します。強い風にあおられて暴れる煙。ジュッ、ジュッ、ジュッ・・今にも停まりそうなゆっくりしたドラフトが風に乗って流れてきます。2両の機関車の後ろに続く貨車の列は・・・有蓋車、こぼれ落ちそうに材木を満載している長物車、石炭車、タンク車・・・さしもの巨大蒸機の前進型重連も峠の頂上を目の前にして青息吐息。少々かわいそうな気もします。(^^:)  よくもまぁ、これだけいっぺんにつないで引っ張るものです。日本だったら「安全上問題がある!」とか何とか言って、編成を半分に切って、別々の列車にしてしまうでしょうね。とにかく「つながるだけつないで、一気に運んじまえっ!!」っていう感じ。だから蒸機なのかもしれない・・・。DLにこんなの牽かせたら、一発でぶっ壊れるような気がするのは私だけでしょうか?ただでさえ、中国のDLは故障が多いって聞くし・・・。
 さて、「追っかけ」するはずだった客レですが、どうやらこちらの予想とは運行日が1日ズレていたらしいことが判明。ということは、あのまま林西で待っていたら・・・ゾ〜〜ッ!

 さて、再び峠を越えて下坑子に移動。先ほど撮った防風林の脇を通り抜け、鉄橋の下で車を停めて、オメガの南側の丘に向かって歩き出します。
「今度こそあの丘の上から撮るぞ〜!!」とご執心なのはmanasayu氏。
丘といっても斜度はなだらかで、登るのにはさほど苦労はしません。途中でヨーロッパ人のグループとすれ違いました。彼らは三脚というものを持っていないのか、いたって軽装でした。
 なんか、この丘の感じを見ていると、映画「二百三高地」の旅順要塞を思い出します。(←ミリタリーマニア!)どこかにロシア軍の防御陣地があるのでは・・・?ところがその「二百三高地」の頂上を占領する前に汽笛の音が!下坑子の発車のようです。
「こりゃ、頂上まで上がっている時間はないな・・・」
仕方なく中腹で三脚を立てて、汽車を待ちます。程なく、前進型重連の貨物列車が左手から姿を現しました。山すそを右に進み、鉄橋を渡って大きくカーブして左に向きを変えて、さらに2つの鉄橋を渡り、私たちの目の下で大きくカーブを切って、右手のトンネルにと突入していきました。この間、約10分。モードラやワインダーを使っているわけではないのに、消費したフィルムは34枚。「念のためにフィルムを入れ替えておこう」と入れた新品フィルムがわずか1列車で飛びました!明日、熱水側の大俯瞰に登ったら果たして1列車で何本フィルムが要るのか?考えるとちょっとゾッとします。

 この後、数本の列車を撮って、宿となるホテルへ。ホテルといっても「保養所」のようなものでしたが・・・。「熱水」というくらいだから温泉がある!と期待していたのですが・・・それは日本の温泉とは違って大きな浴場があるわけではなく、バスタブに温泉の湯を引き入れて浸かる、というものでした。試してみましたが・・・出てきたお湯の熱いこと!(まさに熱水)結局ほどよく冷めるまで待たなくてはならず、とても温泉気分が味わえるものではありませんでした。
 夕食は、今朝のことがあるので皆戦々恐々としていたのですが、これがけっこう口に合う味でした。(日本からの客が来るというので味をあわせてくれたわけでもないでしょうが)肉も野菜もなかなか美味でした。ただ、おかゆがまったく味がないのだけには閉口・・・。ここで秘密兵器(?)「永●園のお茶漬け海苔」が登場!実は出発前にmanasayu氏が経験者の人のアドバイスとして聞いていたことで、今回はなぜか全員ふりかけ・お茶漬けの類を日本から持参。お茶漬け海苔をかけたおかゆはなかなかの味でした。(^^;) 〜中国料理克服法その1〜
 夕食後、夜の客レを見に行こう、ということで熱水(蒙古名ガラデェスタイ)の駅まで皆で歩いていきました。風が止み(体も慣れたのでしょうが)思ったほど寒くありません。あたりには灯りはまったくないのですが、月明かりとはこんなに明るいものなんだ、ということを身を持って体験しました。あいにく、列車の時刻を読み違え、発車には間に合いませんでしたが、峠を登っていく客車の長い灯りの列を見ていると、何かすごく懐かしい感じがしたものです。
 「今日はちょっとあちこち移動しすぎて疲れたなあ、明日は定点撮影しようよ」
 たしかに、力行シーンを撮ろうとして峠の西へ東へと忙しい半日でした。そこで協議の結果、明日の午前中は熱水のオメガカーブの中心にある一番高い丘の上でじっくり撮ることにしました。朝6時に歩いて出発・・・。ものすごく風の強い場所だそうです。かなりな覚悟が必要なようで・・・。
 半日で消費したフィルムが5本・・・明日登る丘は汽車が1時間以上見えているという・・・少し節約を図らないとあと2日はもたない・・・・。さあ、明日はいよいよメインの俯瞰、楽しみなようなコワイような・・・。
中編に続く